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それも愛

性懲りもない日々をつらつらと

「美しい」ってなんだろう? 森村さんの本

森村泰昌っていう美術家がいる。

この人の作品は自身が美術作品になりきる、扮装してを真似るのだ。彼の作品を見るとおおむね笑ってしまうのだけど、本人は至って真面目に美の探求の結果、そっくりショーみたいなことをやってるとのこと。

この人、キワモノのパフォーマーと思いきや、さにあらず、そうそうたる賞(文部科学大臣賞、紫綬褒章etc)も受けてるし、こないだ迄やっていた横浜トリエンナーレではアートディレクターを務めている。かなり評価されているのだ。

へ〜アレでですか?それもある意味びっくり!な気もする。(笑)

 

このひとの本を読んだ。

ぼくは美術館はよく行く方だと思う、絵を観ているときは幸せな時間だ。

が、どの程度美術をわかっているのか、ということには全く自信がない。

なので、美術鑑賞についての本をちょくちょく読んでいるが、これもその中の一冊。

この本は中学生向けくらいに平易に書かれていて、ぼくのようは素人には丁度いい。

1時間目、2時間目・・と授業形式で本はすすむ。

 

お勉強になった箇所をいくつかあげると。

「まずは頭のかなをまっしろにしましょう」

解説や世評をもとにマニュアル的に見ず、まっさらになってみる。ふむふむですね。

 

「ふしぎを探せ」

絵は現実ではなくフィクションなので、どこか浮世ばなれしている箇所がある、そのに作家の描きたいものがある。

この章でハタと思う記述があった、

高倉健はなぜハダカなのか? (*健さんご冥福を祈ります)

任侠映画で健さんは上半身ハダカで単身殴り込みにく。

考えてみたら修羅場でハダカだと危ないのに・・

著者はそれは「いさぎよさ」という美しさを表現していると推察する。

そしてそれはドラクロワの「民衆を導く自由の女神」に通ずるという。ルーブルでぼくも見たことのあるその絵はフランスの7月革命の様子を描き、政府に反旗を翻した民衆が、しかばねを乗り越え進軍している場面を描いている。

で、民衆の中心にいる自由の女神は上半身ハダカ・・(一人だけです、裸なのは)

おもしろいな〜

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 また著者はこの自由の女神にミロのビーナスを連想する。

 

「美とは感動である」

至極まっとうな意見だが、きれいでも感動がなければ美ではなく、暗くてこわくても心動かすものがあればそれも美である。と整理されればなるほど、と思う。

 

モンドリアンレントゲン技師」

コンポジションなどで有名な抽象画の旗手モンドリアンの作品は、ナゼかわからないけど惹かれるものがあるのだが、その答えを提示されました。

いわくモンドリアンは現実の世界(物理的な)の骨組みを探し、ぎりぎりまでそぎおとした美の骨組みを表現していると。

ぼくは抽象画ってなにか観念的なものを表していると思ってました、かならずしもそうじゃないんだ。目からうろこです。

 

「絵を描くことは美術の一部、美意識を育てることが美術である

これは名言ではないでしょうか、日常生活に美を見つけ、自分自身の姿勢や言葉もできるだけ美しくあろうとする、それが美術!かくありたいですね。

 

最終章(10時間目)では、

「美術館は美の森」

美術館にはいろいろな美が落ちているので、森にどんぐりを探すように美術館を訪ねようと提案し

最後に伊藤若冲の「池辺群中図」に描かれた、さまざまな虫や爬虫類を引き合いに、

きれいでもなくても美しい、ちっぽけでも無限の世界がある、みじかなところに感動がある。と締めくくっています。

 

パチパチパチ..いい本でした。

森村先生、ありがとうございました。へ〜あれで、とか言ってゴメンなさい!

 

ゴッホの自画像になりきった森村さん・・やっぱり笑える。) 

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これも愛かな