エッセイ「孤独な鳥はやさしくうたう」
なんて素敵なタイトルだろう!
初めて目にする著者名(田中真知)だったがタイトルに強く惹かれすぐさま購入した。
若い頃より海外を一人で旅をしてきた著者の体験を綴ったエッセイだ。
マラケシュ、モンゴル、バリ・・・
ずいぶん世界を歩き回った人だ、人気の観光地もあるがエキゾチックな辺境も多い。
各章のタイトルも
第2章 追いかけてバルセロナ
第3章 孤独な鳥は優しく歌う
第4章 星の王子のうまれたところ
第5章 父はポルトガルに行った
と期待させる。
第2章は、著者と妻との旅での出会いを描いたものだが、彼が旅で知り合った女性に惹かれ「全身の歯車が一部の隙もなく しっかりと噛み合い」恋を成就する話だが、その若さゆえの情熱と行動力に拍手!パチパチ
また紀行文には風景描写がつきものだけど、実に上手い。
第3章のカサブランカから大西洋沿いに四輪駆動車で南下する描写では、
「海沿いの道はまっすぐである。左手に岩だらけの平坦な荒地が広がり、右手には裁ち落としたような崖がつづく。海からの風に舞いあげられた砂が、半透明ないくつもの帯状の層となって、道の上を泳ぐように流れていく」
裁ち落としたような ・・なかなかできない表現だ。
あとがきで読者へのメッセージとして「旅をあきらめてはいけない」とあった。
グローバリズムの浸透やインターネットの普及で世界中が差異がなくなりつつあり未知との出会いが難しくなった今でも世界はまだまだ広く、またどんな旅でも奥深いものだ 旅に出ようと呼びかけている。
そんなこといわれるとソワソワしてくる。