「雨が空から降れば」は別役さんだった
昨日、ひさしぶりに演劇を観た。
「不思議の国のアリスの帽子屋さんのお茶の会」(「の」遊びの題名になってる)
特徴的だったのは、登場人物の大半が一組の対(ツイ)になっていて、場面によって片方が話し、もう片方が演じるやりかた。(人形劇みたいに演じ手とスピーカーが別)
大げさな手振りや踊りの場面も多い舞台なので、演じる方は自身の動きに集中できる。
舞台でのアフタートークで演出の人が解説してくれたが、セリフと違うニュアンスで演じるにも、この形式は効果的らしい。
はじめは違和感もあったが徐々に右と左、鏡の世界の話しをツイの役者で演じる整合性と異差を楽しめた。
脚本は別役実氏、不条理劇で有名だが観るのは初めて。不条理劇って不思議で意味不明(頭が痛くなるような)で、まあ現代音楽みたいなもんかと思っていた。
冒頭の場面で大根を壁に飾るなど、理解の及ばないトコもあったが、生身の人間が演じる舞台にはリアリティーがあった。
随所にちりばめられたナンセンスな笑いは計算されたものだし、意味不明な部分にも込められた意味や理屈はありそうだ。
ラストでは叙情的で童謡のような曲が流れ幕はおりた。
「雨が空から降れば」は小室等の懐かしい曲だが、その詩が別役氏だと知った。
「雨が空からから降れば、思い出は地面にしみこむ。
公園のベンチでおさかなをつれば、おさかなも雨のなか〜こんな日はしょうがない 。」
印象的な詩だったが、改めて読むと不条理な詩だ。
だが、情景が頭に浮かぶ・・日常の一コマが胸にしみる。
ナルホド、これは演劇的だったのか。
ちょっとクセになりそうな観劇だった。