それも愛

性懲りもない日々をつらつらと

劇画の元祖 カラバッジョ

GWに上野の国立西洋美術館に「カラバッジョ展」を観に行った。

お向かいの都立美術館で「若冲展」をやっており、以前観て素晴らしかった「動植綵絵」をもう一度見たいと思ったが大変混みそうなのでこっちにした。

カラバッジョはローマの教会で見たことはあるんだけど、教会内が暗すぎてよく見えなくて残念な思いをしたことがあったが今回はじっくり見れた。

今回の企画展では彼の作品が十一点、現存するものが四十点くらいしかないそうなので、よく集めたなあと思う。(作品保存の為室内の温度設定がだいぶ低かった)

カラバッジョは若い頃から写実的な技量が卓越していたのに加え、30歳を超えたあたりから光と影のコントラストとそれを生かした大胆な構図の絵を描いている。(特に喧嘩の末に相手を殺してしまいローマから逃亡したあたりから)

展示の最大の目玉は2014年に作品がカラバッジョ作と認定され一般公開は世界初の「マグラダのマリア」。単純な構図だが、法悦に浸る(or 痺れてる)女性の表情がなんともいえず、非常に印象的な作品だった。この作品はカラバッジョが38歳で亡くなるまで手元に置いていたそうだが、マリアの表情の描写だけに集中し背景などは省略されており、人にみせることを意識してない作品だなと思った。

僕のNo.1は「エマオの晩餐」と言う作品で、うつむきかげんに食事をとるイエスとそれがイエスだと気づいた瞬間の周りの人々の驚いた瞬間を表現したもので、絵を観る方も絵の中の人と同じようにイエスに目がいってしまう画面構成で非常に完成度の高い作品だった。

「トカゲに噛まれた少年」もその瞬間の痛さと恐怖のリアルな表情に思わず、笑ってしまった。

カラバッジョの絵を見て劇画的だなあと感じ、井上雅彦の「バカボンド」が思い浮かんだ。

僕的には劇画の元祖カラバッジョさん、唯我独尊の人生だったそうですが、素晴らしい絵でした。

 この展覧会では他に数年前にここで企画展があった同じくバロックを代表する画家 ラ・トゥールの貴重な作品も見れた。