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それも愛

性懲りもない日々をつらつらと

「三たびの海峡」を読んで

「相手の立場になって考えろ」とよく言うが、実際はなかなかむづかしい。

以前足を怪我して少しの距離だけど、街なかを車椅子で移動したことがあった。その時坂道を登っていて、もし何かの拍子で後ろ向きに車椅子が下りていったらと思うと怖かった。車椅子で生活している人は日常的にもっと怖い思いをしているんだろう、とその時初めて想像できた。

 

日本と韓国の不幸な時代に起因する出来事を描いた小説を読んだ。

 

書いたのは日本人(北九州在住の医師)で、小説の主人公は韓国の寒村から対馬海峡を渡る船で強制的に北九州の炭鉱に連れてこられた韓国人だ。戦後生まれの作者本人には責任はないが、心情的には加害者側(日本)の立場の人が被害者側(韓国)の立場に立って物語をこしらえたわけだ。

物語の前半では恐ろしいほどの非人道的な強制連行・労働が非常にリアルに描かれているが、単純に悪者・日本人、被害者・韓国人の構図で全てが書かれているわけではない。

おそらく相当な量の取材をしたに違いないと推察されるその作品には、様々な立場の日本人、韓国人、もしくはハーフの人々が登場する。

 

個人的に特にショックだったのは、小説の舞台になる炭鉱街が僕の生まれ育った地区にあった炭鉱をモデルにしていたことだ。

懐かしい地名や目に浮かぶ風景が登場する。強制連行・労働は知識では知っているが、生まれ育った地区がその舞台であったとは・・なにか体に刺さってくるような感じがした。ストーリーはフィクションだが、下敷きはノンフィクションで実際の出来事やそれに近いものだろうと思われる。

そして僕が子供の頃遊びで登ったあのボタ山その場所が運命的かつ悲劇的なラストシーンの場所だった。(ラストは完全にフィクションだが)

 

映画にもなってるらしいので、一度観てみたいと思う。

またこうゆう作品を演劇にして、日韓両国で上演できれば意義深いと思う。(もちろん単に反日とかゆう意味でなく)