それも愛

性懲りもない日々をつらつらと

上野逍遥

友人と連れ立って上野の山に繰り出した。

最終的には一杯やることが目的だが、お題目は一応建物探訪だ。

上野の美術館や博物館はちょくちょく出かけるので、今回は「東京文化会館」と「国際子ども図書館」をじっくり見た。

東京文化会館は外見は豪快かつおおらか、建物内部は雅で華やいだ感じでとても気に入った。完成は1961年、僕らとほぼ同じ世代じゃないか、僕と違ってだまだ色あせず輝いていた。

国際子ども図書館は築100年以上の歴史ある建物で華麗な装飾が美しい。安藤忠雄氏の手によるリニューアルで近代的なガラス部分が増築され、それもうまくマッチしている。

その後芸大のキャンパスをちょっと覗いて不忍の池に降りホントの目的地に向かった。

 

 「池之端藪そば」で一杯・・

のはづだったのだが、なんと店はまさに解体取り壊し中だった。

名店といわれる蕎麦屋の中でも、僕はここだ一番好きだった。

味もさることながら、店のしつらいも品が良く、また客さばきが絶妙で、江戸の粋を感じる蕎麦屋だった。調べてみると昨年休業した後、再開したが今年早々閉店になったとのこと。残念!

 

仕方がないので、急きょ酒屋探訪になった。

池之端から湯島方面に下るとちょといい雰囲気の飲屋街があった。(やっぱそこは鼻が効くんだなあ)いくつか良さげな店があったが、いかにも正当な居酒屋風の白壁で縄のれんに「奥様公認居酒屋」の提灯を掲げた「岩手屋」に入った。

入った瞬間これは正解だと思った。

年季の入った室内に一生樽がドンと置いてあり、白木のカンターとゆったりとした席の配置になっていた。

まだ夕方の5時過ぎだったが客は6分くらい入ってもり、しかもかなりの年配の方々でいかにも常連さんばかりだった。カンターの向こうにやはり年季の入った白髪のご主人らしき人がいた。(さいわい気むづかしい人ではなかった)

厨房はカウンターの奥に壁を隔ててあり、十分な広さがある感じだ、厨房がしっかり作ってある店は料理がしっかりしている。岩手屋というだけあって「ひっつみ」などそちら方面の料理もあった。

店の営業時間が午後4:00から9:30と書いてあった。客層にあっている。

身のつまった鮎などをアテに東北の地酒を楽しみ、いつしか名店がなくなったのも忘れ杯を重ねた。

 

しかしやっぱりああゆう店がなくなるのは寂しいことだ。

不忍で そばたぐる音 聞こえたか