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それも愛

性懲りもない日々をつらつらと

今年の夏の旅のお供

夏休みで実家に帰省したり、どこか旅行に行くときには旅程に合わせて何冊か新しい本を持っていく。

日常を体ごと離れる旅行と、頭の中で時空を超える本(=物語)とは相性がとてもいい。

これまで読んだ夏旅の本では、20年ほど前バリ島に一人旅で9日間滞在したときに読んだ「マシアスギリの失脚」by 池澤夏樹 が印象深い。(旅行そのものもいろんな事があって面白かった)

架空の南の国での政変劇を描いた長編で、池澤氏の作品ではベストだと思う。

 

さて今年の夏は・・とブックセンターで手にとった本は、

月と6ペンス」 by サマセットモーム

若いときに読むような古典だけど、読みそびれていた。

寓話的な物語をイメージさせるタイトルと夏っぽい作者の名前(サマー!笑)に惹かれてこれを選んだ。

 

事前情報なしに読むと1919年に発表されイギリスで大ベストセラーになった作品は、さすがに読み応え十分だった。

株の仲買人から画家に転身したゴーギャンにヒントを得て書いたらしいが、ゴーギャンの実際の生涯を描いたものではなく、人間の生き方、男女の愛憎、悲劇や救いを画家の波乱の生涯の中に織り込んだもので、他のどんな作品にも似てない独自の作品だった。(月も6ペンスも一切出てきません!)

特に、絵を描くことに全てを捧げ他人には辛辣で容赦のない主人公と彼に憤慨しながらその人間性に興味を持つ文筆業の「私」とのキレのある会話が良かった。

 

久しぶりの旅のお供のヒットだった。