読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

それも愛

性懲りもない日々をつらつらと

「懐かしか」匂いのした舞台

ともさかりえ」主演の舞台「たとえば野に咲く花のように」を観た。

ともさかりえは昔からファンだが、舞台を見に行くきっかけはタイトルに惹かれたからだ。これを書いた人は間違いなく言葉のセンスがいいと思った。

たくましく生きる市井の人(花は女性だろうか?)を描いたものだろうと、すぐ連想できる。

舞台は戦後6年の博多でちょっと洒落てるが時代から取り残されつつあるダンスバー、そこで繰り広げられる人間模様、基本は何組かの恋愛物語だ。(4角関係もあり)

主人公の在日コリアンダンスホールで働く女と婚約者がいながらその女に一目惚れする男は、ともに戦争に影を色濃く引くずって生きている。(女は戦争で恋人を亡くし、男は壮絶な戦争体験の記憶に苦しめられて生きている)

朝鮮戦争の特需で景気のいい港町だが、戦後まだ日も浅く世情は不安定で物騒な事件もめづらしくない。

男たちが生きることに必要以上にこだわりを持ち、厄介なことをいろいろやらかす(戦争もそうか)。女たちはそれに振り回されるが、そんな中でも女たちは日常の些細なことにも喜びを見つけ現実的にたくましく生きていく・・いつの時代もそうだ。

濃い博多弁に親近感を感じるせいもあるが、かってのザワザワしていた時代にあんな何だか妙に熱い男たちがいた気がする。またちょっと艶っぽくそれでいて何かあっても男以上に腹の据わった女の人もいたなあ、なんて少し懐かしい気分がした。

りえちゃんは相変わらずスラリとしていて店で着るドレス姿も決まっていた。オーバー・ザ・レインボーを愛唱しながら、現実を受け入れ今ここでしっかり生きる女性を演じていた。思っていたより声が低いのに少し驚いた。役柄的にそうしていたのか?

がっちりした体格の相手役の男優(山口馬木也、男の強さと弱さを熱演)が主人公を抱きしめるシーンは、思わずうらやましいと思った。舞台が近いので余計にそう感じる、ライブのいいところだろう。(新国立劇場の小劇場での公演は、観客数もほどよく見やすかった。)

セットのバーの窓を開けて聞こえる米軍の戦闘機の爆音、対照的なしみじみした蝉の声も印象に残った。

カーテンコールでりえちゃんの笑顔が少ないのが気になった、今日は満足な出来じゃなかったのか・・僕は十分面白かった。ダンスホールのおかまの店主(大石継太 うまかったなあ)が可愛く腰を折り最後に手を振った。