それも愛

性懲りもない日々をつらつらと

先輩の訃報

郷土の母校の先輩でもある高倉健氏は、思春期に戦争を体験した世代にあたるが、来歴をみると当時としてはかなり経済的に恵まれた家に生まれ育ち、東京の私立大学を卒業、若くしてスターとなり最後までスターであり続けたわけだから相当恵まれた人生とも言えるだろう。

氏に対しては大スターなのに気遣いのある優しい人、などという評が多いように思うが、むしろ大スターとしての自覚がそのような行動に結びついていたような側面もある気がする。プロの俳優としての自覚は人後に落ちなかっただろう、また以前作品を選ぶ基準は自分はプロなのでギャラも大きいと率直に語っていたのも記憶にある。自分の仕事に誇りをもって生涯真摯に精進した、そんないまや少なくなったタイプの人だったのだろう。

人柄を賞賛するむきも多いが、人柄に優れた人は無名の市井人にもおり、彼が人生をかけた映画と観て、映画を語ることが何よりの供養ではないかと思う。

 

スター高倉健を演じる(=大スターとして扱われる)のは映画のときだけにしたかったのではないだろうかとも思う。映画以外の仕事はほとんど受けなかったという普段の氏は気さくで陽気な人だったとも聞くが、素の小田剛一さんはそんな人だったのだろう。

 

いわゆる達者なタイプの役者ではなかったが、なんの役をやっても高倉健を観ていたいって思わせる役者さんだった。僕が印象に残ってる映画は「昭和残侠伝」「幸せの黄色いハンカチ」「夜叉」、遺作となった「あなたへ」は未だ観てないので、ちかじか見たいと思う。

 

合掌。