両国でシェイクスピア
両国にあるシアターX(ギリシャ語読みでカイ)で劇団うずめ劇場の「アントニーとクレオパトラ」を観劇した。
ある程度史実に基づいた歴史ドラマなんだろうが、十分現代的でリアルに思えた。
主人公のアントニーは功なり名を遂げた人物だが、クレオパトラとの享楽的な生活にかまけてローマの統治者としての政務をなおざりにする。その間アントニーにとってはまだまだ若造であるライバルのシーザーは優秀な家臣にもめぐまれ着実に権力の基盤を整えていく。
祖国ローマの危機に際し一度は互いに手を結ぶ(アントニーがひと肌脱ぎローマの危機を救う)二人だが、最終的には決別、雌雄を決する戦いでアントニーは敗れ、クレオパトラとともにに死を選ぶ。
アリとキリギリスの様な話だが、主人公はアントニーとクレオパトラだ。
二人は他国のトップ同士としての立場もあり複雑にならざおえない関係ではあるが、最後まで互いへの愛を貫いて破滅へと至る。だがあえて合理的ではない選択によって、プライドを保ち豊かな人生をまっとうできたのではないか・・
またローマと敵対するポンペイウスがシーザーやアントニーを打ち取るチャンスがありながら名誉を重んじみすみす逃しててしまうエピソード(ポンペイウスはその後シーザーに滅ぼされる)もこのドラマのテーマを象徴していると思った。
3時間以上の長い公演だったが、多数の登場人物がそれぞれに魅力があり、退屈しなかった。中休みで一杯やれるのもよかった。
映像を使ったり、舞台の片付けをエンディングのクレオパトラ昇天の場面に重ねるなど、ハッとする演出もありいろいろ楽しめた。
初めて観るシェークスピア劇はちょっとエキセントリック、コミカルでアップテンポなモダンバージョンだったが、テーマは普遍的でかつ現代的だと思った。
こうゆう芝居を見ると「アレはどうゆう意味だったのか??」と数日考える。
が、明快にはわからないまま記憶の底に埋もれて行く。まあ今回もそうだろう。