捨てられない本「東京漂流」
ぼくは本を買う方だと思う。
ジャンルは問わず、小説からエッセイ、歴史関係・美術関係(初心者向け)etc.
なので本棚はすぐ満員御礼になり、半年に一度くらいに数十冊を廃棄している。
その際、購入間もない本はさすがに捨てられず、数年前に購入しもういいかなっていう本とそれではこの辺でとお別れする。
そんな中しぶとく生き残り、もう捨てられなくなってる本が数冊ある。(腐れ縁か)
その中の一冊が、藤原新也の「東京漂流」。
藤原氏はひろくは写真家として認知されていると思うが、著作も多い。
ぼくも「乳の海」「名前のない花」など何作か読んできたが、なぜか「東京漂流」だけが漂流せずにまだ本棚に残っている。
数日前に友人から氏の最近の活動(写真家として)を聞き、久しぶりに「東京漂流」を手にした。出版は昭和58年、ぼくが大学を卒業し就職した年だ。
400ページを超える分厚い本で内容はほとんどを忘れていたが、パラパラとめくると見覚えのある写真が出てきて、当時受けた強い印象が生々しく蘇ってきた。
氏は東京芸大で油絵を学んだそうだが、彼の写真は絵画的(あるいは写真的な)美を表してるわけではなく、思想家もしくは社会批評家的な素質にもとづいた骨太な主張や痛烈な批評が写真とゆう手段で表現されていると思う。
出身がかって商業港として栄えそして廃れた北九州の門司で、しかも終戦直後に生まれ育った背景からか、どこかデカダンスとアナーキーの風情もある。
その藤原新也が最近世界遺産に登録された洋上の宮「沖ノ島」の写真集を出したそうだ。
一貫して反権威的なスタンスを取ってきた氏が・・と意外な印象を受けたが、生ける伝説ともいえる古の島(=神社)に感じるものがあったのだろう。興味が湧く。
この本はアマゾンで注文せずに、本屋で写真をみて本棚入りか否かを決めようと思う。